出光興産株式会社は明治時代に創業されたエネルギーの老舗企業です。2019年の昭和シェル石油との統合を経て、さらにパワーアップしたその事業展開や経営方針に注目が集まっています。
この記事では、出光興産の基本情報から事業内容、社員の声、採用情報までを一挙に紹介します。
出光興産株式会社ってどんな企業?
会社名 | 出光興産株式会社 |
代表取締役 | 酒井 則明(代表取締役社長) |
設立 | 1940年3月30日
※創業は1911年6月20日 |
所在地 | 〒100-8321 東京都千代田区大手町一丁目2番1号 |
事業内容 | 燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の各分野における 多様なエネルギーと素材の開発・製造・販売 |
上場市場 | 東京証券取引所 |
公式サイト | https://www.idemitsu.com/ |
出光興産株式会社は、1911年創業・1940年設立の日本を代表するエネルギー企業です。東京都千代田区に本社を構え、燃料油、化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源など幅広い事業を展開しています。2019年には昭和シェル石油との統合により、エネルギー分野における競争力を一段と高めました。
新ブランド「apollostation」の導入により、従来の出光・昭和シェルのイメージを刷新しつつ、親しみやすさと革新性を両立させています。
統合新社の母体である出光興産・昭和シェル石油はどちらも明治時代に創業され、戦中・戦後の時代も日本のエネルギー産業を支えてきた老舗企業です。出光興産株式会社は、統合によって「出光興産」と「昭和シェル石油」それぞれの会社が大事にしてきたものや歴史を失う事のないよう配慮しながら、統合によって日本のエネルギーセキュリティを担うに足る強固な経営基盤を築いて行く事でしょう。
画像出典:https://www.idemitsu.com/jp/company/profile/index.html
なお、2021年4月より全国のガソリンスタンドや給油所を新ブランド「apollostation」に統一。長年にわたり親しまれた「昭和シェル石油」「出光」のガソリンスタンドがなくなることを惜しんだ人も多くいましたが、今後はこの新しいロゴが同じように親しまれていくことでしょう。
出光およびapollostationのロゴは、ギリシャ・ローマ神話の太陽神「アポロ」をモチーフとしたものとなっています。エネルギーに満ち溢れ、高い志と未来を見通す眼差しを持つアポロ神のような存在でありたいという願いと決意をこめて、このロゴが設定されました。
出光興産株式会社を支える5つの事業
出光興産の中核を担うのは、以下の5事業です。それぞれが異なる産業と密接に関わりながら、日本と世界のエネルギーを支えています。
【燃料油】原油調達、石油製品の精製・販売など
「出光」と聞いて真っ先にガソリンスタンドを思い浮かべる方も少なくはないのではないでしょうか。出光興産株式会社は、国内に7つの製油所を保有しており、国内の様々な地域で安定したエネルギー資源の供給を実現させています。海外においては、アジア・環太平洋において事業を強化しています。
【基礎化学品】基礎化学品などの製造・販売
出光興産株式会社の持つ石油化学工場は2つ。オレフィン(エチレン、プロピレン、ブタジエン)の製造・販売やアロマ(スチレンモノマー、BTX)の生産・販売などあらゆる素材の出発点となる重要な基礎化学品に関わっています。
【高機能材】潤滑油、機能化学品、電子材料、高機能アスファルト、アグリバイオ、固体電解質など
「出光興産」「昭和シェル石油」それぞれが培ってきた技術を使い、変化する社会のニーズに合う資源などを製造販売、研究開発しています。高機能アスファルトは、例えば排水性舗装用・低騒音舗装用などに特化したアスファルトなど。道路に使われているアスファルトを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。
【電力・再生可能エネルギー】風力、太陽光、バイオマス、地熱、LNG火力など
出光興産株式会社は、風力、地熱、バイオマス、太陽光などの再生可能エネルギーや二酸化炭素の排出が少ないLNG火力を積極的に活用した電力の供給も行っています。分散型電源を採用し、安定的な電力供給を実現しています。
【資源】石油・天然ガス開発、石炭など
さらに、出光興産株式会社は既存の石油・石炭資源の資産価値の維持・向上やアジア圏でのガス田開発にも着手しています。オーストラリアにも自社鉱山を保有しており、世界のエネルギーを色々な方面から支える役割を担っています。
出光興産の経営ビジョン
出光興産株式会社の企業理念は「真に働く」です。この理念には、国や地域社会とそこに暮らす人々を想って働いているかどうかを日々顧みてさらなる成長を目指す事や、そういった志の人々が集まって一丸となり「不可能」を「可能」にするといったビジョンがあります。
これまで素材とエネルギーの安定供給を社会的な使命としてきた出光ですが、その根幹には「人の暮らしと未来の地球環境を守る」という強い想いがあります。
しかし、今後もその想いを成し遂げていくには、カーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けて果敢に取り組んでいかなければならないのが事実。
出光興産はこれまで培ってきた資産である人材やインフラ、技術、知見をいかし、2050年の未来を見据えた挑戦を始めています。2050年のカーボンニュートラル・循環型社会を牽引すべく、出光が行っている3つの事業領域を紹介します。
一歩先のエネルギー
合成燃料やアンモニア、SAFなどといった多様なカーボンニュートラルエネルギーの安定供給の実現を目指しています。
SAFは航空業界における脱炭素化の具体策として知られている「持続可能な航空燃料」のこと。このSAFの国内供給体制を目指しています。また、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアや合成燃料を新エネルギーとして導入・普及できるよう研究を重ねています。
多様な省資源・資源循環ソリューション
産業活動や一般の消費者に向け、高機能マテリアルや資源循環・リサイクルなど、これまで出光が培ってきたカーボンニュートラルの解決策を提供します。
使用済みプラスチックのリサイクルや、環境負荷の少ない次世代電池材料(電気自動車の普及拡大)を目指した「固体電解質」の開発などを行っています。
スマートよろずや
出光興産のスマートよろずや構想は、出光興産の一般的なイメージであるガソリンスタンドを、時代の様々なニーズに合わせて「生活支援基地」として進化させていくものです。
具体的には、「apollostation Type Green」といった太陽光発電を用いたEV急速充電器の設置施設や「apollo ONE」といった洗車やカーコーディングなどのモビリティサービスに特化した専門店などの設置が挙げられます。
社員はどう感じている?出光興産株式会社の口コミ
社員ひとりひとりが最大限に能力を発揮できる環境の実現を経営陣の責務として捉えている出光興産株式会社。実際に働いた人はどう感じているのでしょうか?口コミを調べてみました。

給料が良い
ひとりひとり責任のある仕事が与えられ、年齢の割に給料が良いと感じている。残業は自分の場合月に10時間程度あるが、残業手当やその他の手当は確実に全額支給される。
残業の時間は少なくても月に10~20時間などやはり配属によってバラつきはあるようですが、サービス残業はないと書かれている口コミが目立ちました。賞与もしっかりと出ているようです。

研修が充実している
研修センターなどがあり、研修施設が充実しています。泊まり込みの研修もありますが、充実した内容でした。新卒社員の定着率も良いと思います。
入社時や研修時にはしっかりと経営理念や会社に関する資料集を読むという口コミも。社員の教育はとても熱心に行う企業のようです。新卒社員はもちろん、中途採用の社員や中堅社員にもしっかりとそれぞれに合った研修が行われるようです。

福利厚生がとても良い
福利厚生はかなり充実している。社員のために住宅は必ず会社が手配してくれた。勤務期間はそれなりに長くなるが、住宅で苦労した事は一度もなかった。
住宅手当などを含む福利厚生の充実を賞賛する口コミが圧倒的に多く見られました。人の働く環境を整えるには、まず住宅からという事でしょうか。中には「転勤による別居の場合は月に一度の帰省費用を負担してもらえる」などの声も。
出光興産株式会社の採用情報
出光興産では、技術職・事務職ともに多様な職種で人材を募集しています。以下は採用情報の一部です。
新卒採用
職種 | 【事務系】 ・ゼネラルコース 【技術系】 |
仕事内容 | コースによる |
応募資格 | 2026年3月までに大学、大学院を卒業見込みの方 ※外国籍の方、既卒(卒業後3年以内、就業経験有無問わず)の方も対象 【事務系】 【技術系】 |
勤務地 | 本社および国内各支店、研究所、製油所・事業所、海外の事業所 ※出向や海外現地法人への勤務の可能性もあり(2025年3月時点) |
勤務時間 | 本社・支店:9:00~17:30 研究所 :8:45~17:15 製油所・事業所:8:00~16:30 ※休憩60分 ※事業所・業務により異なる |
給与 | 大学院了(博士):341,000円 大学院了(修士):322,000円 大学卒・高等専門学校専攻科卒:304,000円 ※2025年4月支給実績 |
休日・休暇 | 週休2日制(土・日) 年末年始、国民の祝日に関する法律で定める休日、 創業記念日、5月1日、12月29日 |
新卒採用は事務系と技術系に分かれますが、技術系に多くの職種があり、それぞれ職務内容や配属先が大きく異なります。詳しい情報は、出光興産株式会社の採用サイトより確認すると良いでしょう。
また、出光興産では夏と秋にインターンが開催されますので、就職を考えている方はぜひ参加してみましょう。複数のコースから自分の目指す職種を選ぶものとなりますが、もしコース選びに迷った場合はオンラインセミナーを受講して選択の参考にすることもできます。
キャリア採用
キャリア採用の職種は現状60種類以上の職種での募集が公開されているため、その一部をピックアップして紹介しています。
職種 | スタッフエンジニア/試験分析技術者【SE10】 |
仕事内容 | ・現場の試験技術向上、製油所・事業所全体の品質向上の取り組み。 ・各製造装置のトラブル対応、製品の品質異常発生時の原因究明、 是正処置。 ・石油連盟、石油学会への参加、規制等の最新情報収集 |
応募資格 | 下記①②のいずれかの能力を有するとともに、 「試験管理・機器分析業務」経験を有すること。 ①機器分析(GC/MS、GC、等)の原理・原則に基づいた分析法の理解 |
勤務地 | 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地(次世代技術研究所)
※経験を積んだ後、全国の製油所、事業所へのローテーションあり |
勤務時間 | 8:45~17:15 ※休憩60分(12:00~13:00) |
給与 | 300,000~390,000円 ※経験、能力を考慮の上、規定により決定 |
休日・休暇 | 完全週休2⽇制(⼟⽇祝⽇)、創業記念⽇、年末年始他 |
求人内容は多岐にわたっており、職種によって勤務地や応募条件が大きく異なります。また、最初の勤務地は希望が考慮されますが、経験を積んでいく中でグループ会社への出向や異動の可能性もあることは留意しておくことが必要です。
新卒と同様、キャリア採用の場合も手厚い研修が準備されており、入社時の研修のほか、階層別研修や選抜研修、公募研修など、キャリアを積む途中でも様々な研修を受ける機会が用意されています。もちろん、配属された部門にて独自の研修が実施される場合もあります。
まとめ|出光興産株式会社は「変わり続ける老舗」未来への道筋を描く
出光興産株式会社は、100年以上の歴史と伝統を持ちながらも、時代の変化に柔軟に対応し続けている企業です。昭和シェルとの経営統合を機に、燃料油や化学品にとどまらず、高機能材や再生可能エネルギー、さらにはリサイクルやEV充電といった新たな領域へと事業を広げています。
社員への教育や福利厚生にも力を入れており、「人を育てる企業」としての側面も強い点が特徴です。また、新卒・中途ともに多様なキャリアパスを用意し、未来に向けた挑戦を後押ししています。
環境への配慮、地域社会との共存、そして人々の暮らしを支えるサービス展開。そのすべてを一社で担おうとする出光興産は、まさに“未来志向型の老舗企業”といえるでしょう。
エネルギー産業やサステナビリティに関心がある方は、今後の出光興産の動向にぜひ注目してください。
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